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ペアルック

創作 カス

この瞬間を僕はずっと待ち望んでいたのだ。
今、校内は僕だけしかいない。他はみんな出払っている。今なら何もかも僕一人の思い通りに出来る。

なんでも出来るが、やることは一つだけ。
あの女子、こないだ社会のテストで学年トップをとった奴。彼女のロッカーを開けるのだ。

金属製の扉は単純な鍵ひとつで施錠されており、針金2本で簡単に開けられた。
ガチャリと音がしたところで興奮と緊張は最高潮に達した。

ロッカーの中をおそるおそる見る。ガッカリした。
中の物に何かをしてやろうと思っていたのだが、しかしそこに大した物は無かった。
いくつか参考書と使い古しのノートが置かれているだけだった。
これでは何も出来ない。

フラストレーションが溜まり、参考書を何気なく持ち上げる。すると、その下に赤い布があった。学校指定のネクタイだった。

これだ。向かうところ敵なし、無敵の僕は迷いなく服を全て脱ぎ去り、ネクタイを全裸体に巻きつけた。

実に愉快であった。気が大きくなって、机の上に登り、仁王立ちして高笑いした。服は着ていない。

そこに、この絶妙の最悪のタイミングで、あの例の女子が来るとは誰が予想しただろうか。
しかしどうして彼女は教室に入って来た。スライド式の扉を開けて、僕の姿を見た。

終わった。そう確信した。

彼女は何も言わず、着ていた服を全て脱いだ。全裸体である。
そして、赤いネクタイをどこからか取り出した。
紛れもない僕のネクタイだ。
それを裸体に巻きつけて、ニタニタ笑った。

「おそろいだね」

お揃いとか、そういった問題ではないのではないか。そう思ったが、僕は女子とあまり話したことが無くシャイだったのでただただ黙っていた。

これからはもっと社交的にならなきゃいけないのだろう。ああ、なんてめんどくさいんだろう?