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バスタオルの神様

神様になることにした。給料がいいからだ。
八百万の神とはよく言ったもので、この世に存在する万物には神が宿っている。
最近はいろんな物が増えるので神様の数が足りなくなり、新人を募集し始めたらしい。

神様になるにはまず試験を受けなければいけない。試験は都会にあるオフィスビルの一室で行われる。

試験と言っても簡単な筆記テストだ。作文と、中学レベルの数学問題をやらされる。

筆記試験をパスしたら面接に進む。神に相応しい人材かどうか、人柄を見て確かめるのだろう。

「志望動機はなんですか?」

パンツスーツ姿の女性面接官が書類に目を落としたまま尋ねた。

「前職のプログラマとしての経験を、社会のために役立てられたらなと思いまして」

これは半分本当だ。

「具体的にどういったスキルをお持ちで?」

書類を一枚めくって重ねる。

「主に使用していたのはRPG4とPascalです」

「そうですか、ありがとうございました」

この面接を通ると、晴れて内定通知が来る。
これでもう神様だ。

現実はそこまで甘くなかった。

「じゃあ、僕は神様になるための課程<コース>に入ったのですか」

そうだ、と教官はにべもなく答える。

「課程は五年間。神として相応しい人間を目指して頑張ってもらう」

コースが行われる学校の近くの寮に住み、勉強に励んだ。
道徳についての論文や、社会学のレポートなど、コースは意外なほど多分野におよんだ。

5年後、課程を修了しついに神様になった。バスタオルの神様だ。
友人はショボいと言ったが、世界中のバスタオルは私なしでは存在し得ないのだ。それを思うと誇らしくてならない。

あなたも何を目指しているのか知らないが、やり遂げれば爽快なので頑張ってほしい。