読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

二組の横林さん

二組の横林さんの胸は大きかった。
他の女子と比べて明らかに大きい。体育で体操着など着ると、くっきり丸い双丘が現れた。
地味な彼女があんな立派なものを持っている状態は、僕を困惑させた。

しかし、僕はそれを決して口にしなかった。
別に横林さんが好きな訳ではないのだ。
むしろ、女性の胸への興味を阻害している横林さんのおとなしい人柄がもどかしいとまで思っていた。
それに何しろ恥ずかしい。女子についての話題が出るときは、なぜか大抵ネガティブな意見が目立つから、巨乳の話などしにくい。

僕はもやもやした。みんなに言いたい。言って、確かめたい。
他の人間があの胸を見てどう思うかが知りたかった。どうしても知りたかった。
それでも話しにくい。話せないほどに。
僕は結局、卒業するまで横林さんについてのことを口にすることが出来なかった。

それから数年経った。
僕はかつていた町を訪れた。かつての一番の親友と会い、ハンバーガー屋に入った。

他愛ない話をした。コーラの氷が溶けきったころに親友がポツリとこう言った。

「なあ、二組の横林。覚えてる?おっぱいデカかったよな」

これを聞いた時、僕は泣きそうになるかと思った。
共感を求めていた少年の僕が、今の僕の心の中で少し笑った気がした。

帰ったあと、卒業アルバムを開いて見てみた。横林さんは思ったよりもブスだったしおっぱいもそうでもなかった。