単発

時給782円

【16:00】 そろそろバイトに出かける準備をしなければならない。憂鬱だ。 失敗したら先輩に迷惑をかけてしまう。店長が持て余したように、諭すように注意してくる。嫌だ。僕を排除するな。 僕はここにいなければいけないんだ。排除されたら逃げたくなってし…

ロマンチックを飲みましょう

ロマンチックを飲みましょう かつて、地球上には戦争や飢餓が絶えなかったそうだ。21世紀前半までの未熟な社会システムは、すべて人間を幸福に導くものたり得なかった。仕方のないことだ。未熟さが回避できない。 何にせよ、そういう苦しんだ人間たちの気持…

土井先輩

3年の土井先輩は人気があった。1年男子からの卑しい羨望の目を向けられていた。そういう意味だ。同時に、僕も人気があった。土井先輩を密かにアイドルのようにあつかうやつらに人気があった。僕は中学一年生にしては性知識が豊富だった。あのコンテクストの…

二組の横林さん

二組の横林さんの胸は大きかった。 他の女子と比べて明らかに大きい。体育で体操着など着ると、くっきり丸い双丘が現れた。 地味な彼女があんな立派なものを持っている状態は、僕を困惑させた。しかし、僕はそれを決して口にしなかった。 別に横林さんが好き…

UF423便

メニューをしばらく読んで、カップヌードルを食べることにした。カップヌードルならば5ドルである。この割高なメニュー上においてコーラとも大差のない値段だ。空腹と退屈を紛らわすにはちょうどいいと思った。 大会へ向かう飛行機の中だった。皆でとくべつ…

或る夏の日の追跡 (1)

ある夏の日の昼下がり。僕はまさしく不毛と呼んで差し支えない虚無の時間をぼうぜんと過ごしていた。 文化と教養あふれる誇り高き人間社会の一員として、考えうる限り最悪の行動で夏期休暇をいたずらに消費していた。つまり何もせずただダラダラと過ごしてい…

ワニ肉へのアンチテーゼ

(都内某所) 「どうも、お久しぶりです」「あっ、はいはいどうもどうも」「すっかり冬ですね」「はい、うん、もう大分冷え込んじゃってね。困ったもんよ」